見積金額 -流通の謎-
先日、HPを見ましたという方が将来予定している
住宅について事務所に相談にいらっしゃいました。
とても感じの良いご夫婦で私と同じ年齢ということもあり
2時間あまり世間話をあいだに挟んでの
楽しいお話になりました(^^)
会話の抜粋

Aさん「自分も工事に参加(手伝う)ようなことは可能ですか?」
「うちの(分離発注)場合は可能ですよ。
  ただ、その分大工さんの人工が減るとは限りませんけれどね」(^^;


Aさん「例えば、クロスなんかを自分で貼ったら安くなります?」

この質問に対する櫻の答えは
「安くはならない...と思います」(^^;

なぜ、職人さんの「手間」を加えた「請負」より「材料代」だけのものが安くならないのでしょうか?本当であれば、建主さんが自分で施工たほうが安いはずですよね?

そこには「
流通」の不思議があったんです(^^;
以前、コラムの「適正価格」などの中で『企業努力で仕入れコストを低減する』といったことを書きましたが、これも不思議のひとつですね(^^;

年間数十棟
の品物を入れるから、金額/棟のコストを下げるといった形です。
ある程度の規模が大きいハウスメーカーや建設会社さんのほとんどがこの方式をとっていると思います。

例えば、何にでも「
基本となる価格」(例:カタログ価格)が有ります。
で、その金額に「
仕入れの率」を掛けたものが「仕入れ価格」となるわけで、仕入れ価格の違いはこの「」の違いなのです。
例えばA社は50%でB社は40%...同じ100万円のものだと50万円と40万円となり、
10万円の差額がうまれるわけです...こういったものが積もり積もれば...1棟と考えるとちょっと大きいかもしれませんね(^^;

この率の違いは、上記理由の他に、その会社間の付合いの長さや、その時の情勢にも左右される為、施工会社同士で「
うちは△%で入ってるぞ」という会話が禁句となっているのも業界ならではの暗黙の了解のようです(^^;
ただ、この「基本となる価格」も曲者です(^^;
戸建用ユニットバスを例にあげると、各メーカーのカタログの金額は似たり寄ったりで同等クラス商品として価格の設定をしています。
クラスとしては
......と、まぁ色々ですけれど(笑)

道東地方では原則として一般的にメーカーは直販はしていません。
ということで、メーカーは建材会社(商社・問屋)に卸すのですが、ここでも卸す価格が各建材会社によって異なってくることになります。

その原因の一つにメーカーの「
一押し商品」が有るわけです(^^;
これは、カタログ金額は他メーカーと似たり寄ったりだけど、この商品に限っては
最大△%引きますよ!ってやつです。
ですから、カタログ中の別の低金額商品に変更しても、価格が安くなるとは限らないわけです...まぁ、これはどんな商品にも言えることですけれど...。

電気屋さんによっては家電製品も引き率が違いますもんねぇ(^^;

だから「
定価は有って無いようなもの」と私はよく言います(^^;
建材や衛生機器が
オープン価格になる日も近いかもしれませんね。
さて、話を「クロス」に戻しましょう(^^;

なぜ、クロスを職人さんに頼んだほうが安いか?
櫻の分離発注で依頼するクロス屋さんは個人でやっている腕の良い職人さんです。
その職人さんが問屋から仕入れるクロスの値段と貼り手間を合わせると、一般的な
クロス(F☆☆☆☆)900円/u〜です。(もちろん選択するクロスの種類にもよりますけれど...最近の住宅では900円〜1,200円/uが平均です。F☆☆☆☆とは、有害な化学物質含有が最小限であると大臣が認定したものに付けられるマークです。)

もし
某ホームセンターで、上記と同等品の白いクロスを買うと、約6帖分と表示されているロールで19,800円です。

6帖分の壁は、大体26u(窓の大きさや数、ドアの大きさにより違いが有ります)
19,800円/26u=762円/u...これだけを見れば確かに安いのですが...

新築の場合は「
パテ処理」が必要になります。
これは下地であるボードの継ぎ目やビス穴を補修することで、これをきちんとやらないとクロス面が凸凹になったりして綺麗には仕上がりません。

そのパテを買い、道具を揃えて、尚且つ時間をかけて仕上げクロスを貼るとなると、
上記差額の138円/uではとても間に合いません...よね?(^^;

と言うわけで、職人さんに依頼したほうが安いという結果になるわけです。
これが、1部屋だけの貼替えとなるとお父さんが日曜大工として貼るほうが安くなる可能性も有りますのでお勧めします(^^)

ちなみにこれは分離発注つまり中間マージンをかけない方式によるものです。
工務店などの施工会社の価格と比べると、こういった計算にはなりませんのでご了承ください(^^;

Aさんには、こういうような一連の説明をさせていただいたところ、理解して頂けたようで、この他、分離発注と工務店施工の違いや方法などのお話をさせて頂いた楽しい2時間だったと思います。(^^)
余談ですが、ある機器メーカーはお客さんへの直販もしています。
ただし、その機器の仕入れ価格(材工共)としては、お客さん直接の価格より工務店への卸し価格のほうが安くなります。その差額分は大体として工務店の儲け(というか経費)となります。

これはある意味、建築業界の中で「お互いに助け合って儲けようね」との考えが有るものだと思いますし、実際、昔はそれが成立っていました。
昨今、その関係が「価格破壊」という言葉で崩れ去ろうとしています。

でも、この「価格破壊」と「適正価格を考えた分離発注」とは異なります。
それについて詳しい話は次回ということで、今回はここまで(^^)
このコラムは、かなりの部分に私の主観・感想・思い込みなどが多々盛り込まれていますので、使用上は充分ご注意ください(^^)
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一級建築士事務所 設計処 櫻